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経営・財務

損益分岐点の出し方|あといくら売上があれば赤字を脱出できるのか?

経営者が最も知りたい「あといくら売れば黒字になるか」を計算する損益分岐点の出し方を解説。基本計算式、固定費と変動費の分け方、業種別の特徴、限界利益率の改善方法、毎月見るべき数字を整理します。中小企業の資金繰り改善で役立つ実務ポイントを、編集部が中立的に整理します。

編集・運営:公開日 2020.12.01最終更新 2024.04.28
本記事は2024.04.28時点のファクサポ編集部による情報です。 審査基準・手数料・契約条件は変更される場合があり、ご利用前に必ず各社公式情報をご確認ください。

経営者が最も知りたい数字の1つが「あといくら売れば黒字になるのか」です。

その答えを示すのが損益分岐点です。値上げ・採用・広告投資・設備投資など、経営判断の基準にもなる数字で、感覚経営から数字経営への第一歩でもあります。

損益分岐点とは

利益がゼロになる売上高です。赤字でもない・黒字でもない境界線のことです。

例えば月商300万円で利益10万円の会社が、月商280万円になると赤字になる場合、どこが境界線か。それを示すのが損益分岐点です。

なぜ重要なのか

経営者は毎日売上を見ています。しかし本当に見るべきは損益分岐点です。

  • 値上げ判断: 損益分岐点を超える価格設定ができるか
  • 採用判断: 人件費増加で損益分岐点がどれだけ上がるか
  • 広告投資判断: 投下費用が損益分岐点に与える影響
  • 設備投資判断: 償却費・金利負担後の損益分岐点

損益分岐点の計算式

基本式は次の通りです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

固定費と変動費を分ける

固定費

売上に関係なく発生する費用です。

  • 家賃
  • 人件費(正社員)
  • リース料
  • 通信費
  • 保険料

変動費

売上に比例して増える費用です。

  • 原材料費
  • 外注費
  • 配送費
  • 仕入代金
  • アルバイト人件費(時給制)

業種によって固変分解の境界は変わります。

限界利益率とは

売上から変動費を引いた割合です。

限界利益率 = (売上 − 変動費) ÷ 売上

計算例

  • 売上: 100万円
  • 変動費: 60万円
  • 固定費: 30万円

限界利益率 = (100 − 60) ÷ 100 = 40%

損益分岐点 = 30 ÷ 0.4 = 75万円

つまり75万円売れば赤字にならない、というのが計算結果です。

業種別の特徴

建設業

固定費が低いケースが多い反面、外注費が大きい業種です。つまり限界利益率が低いという特徴があります。

売上が立っても利益が残りにくい構造のため、損益分岐点を超えるための売上ボリュームが大きくなります。

製造業

固定費が大きい業種です。工場・設備・正社員人件費の負担が重く、損益分岐点も高くなります。

設備投資判断時には、損益分岐点がどれだけ上がるかの試算が必須です。

飲食店

家賃と人件費が重く、売上が少し落ちるだけで赤字になりやすい業種です。

損益分岐点に対する安全余裕率(現状売上が損益分岐点をどれだけ上回っているか)を毎月確認することが対策の起点です。

IT・受託

固定費は低めですが、人件費が変動的に近い構造になります。受託案件の単価設計に損益分岐点の考え方が直結します。

こんな時は要注意

  • 損益分岐点を知らない
  • 毎月の固定費を把握していない
  • 利益率を計算していない
  • 値上げ判断が感覚的

業界で見られる誤解

「売上が増えれば利益も増える」

違います。利益率が判断の起点になります。売上が増えても変動費比率が高ければ利益は残りません。

「赤字は売上不足」

違います。固定費が高すぎる場合もあります。固定費構造の見直しが必要なケースです。

損益分岐点を下げる方法

① 固定費を下げる

家賃見直し・正社員から外注への切り替え・サブスクの整理など。

② 限界利益率を上げる

値上げ・高利益商品の販売構成比率向上・仕入交渉。

③ 値上げ判断

業種別の値上げ余地は損益と資金繰りの違いとあわせて検討してください。

経営者が毎月見るべき数字

  • 売上
  • 固定費
  • 変動費
  • 限界利益率
  • 損益分岐点

これを月次決算と並行して算出する仕組みを作ります。詳細は月次決算の進め方を参照してください。

値上げ vs 固定費削減のシナリオ比較

損益分岐点を下げる方法は複数ありますが、効果は手段により大きく異なります。

ケース: 売上100万円/変動費60万円/固定費30万円(現状の損益分岐点75万円)

シナリオA: 5%値上げ(売上105万円・変動費60万円・固定費30万円)

  • 限界利益率 = (105 − 60) ÷ 105 = 約42.9%
  • 損益分岐点 = 30 ÷ 0.429 = 約70万円(5万円改善)

シナリオB: 固定費10%削減(固定費27万円)

  • 限界利益率 = 40%(変わらず)
  • 損益分岐点 = 27 ÷ 0.4 = 約67.5万円(7.5万円改善)

シナリオC: 変動費5%削減(変動費57万円)

  • 限界利益率 = (100 − 57) ÷ 100 = 43%
  • 損益分岐点 = 30 ÷ 0.43 = 約69.8万円(5.2万円改善)

数字で比較すると、自社にとってどの打ち手が最も効くかが見えます。

整理が必要な観点

利益改善は売上を増やすことではありません。損益分岐点を理解することです。

整理しておきたいのは「売上目標は損益分岐点から逆算する」という考え方です。年間の固定費と限界利益率が分かれば、必要売上は自動的に決まります。感覚的な売上目標から脱却する第一歩です。

編集部が補足したい実務的な観点

1. 「金融機関との関係性」も資産: 銀行融資・公庫融資・信用保証協会との関係は、長期的な資金繰りの安定性に直結します。ファクタリングは銀行融資との並行活用が可能なため、両者の関係を切り分けて捉えるのが実務的です。

2. 「決算書の見栄え」を意識した取引設計: 同じ資金調達でも、決算書の表示が変わると次回融資審査の評価も変わります。ファクタリングは借入ではなく債権譲渡なので、負債計上されない点がポジティブに作用する実務でしばしば見られます。

3. 「税務・会計処理」を事前確認: ファクタリング手数料の処理(売上債権譲渡損として一括費用化)は会計上明確ですが、消費税の取扱いや決算期をまたぐ場合の留意点があります。税理士に事前相談しておくと安心です。

資金繰り改善の全体像は中小企業の資金調達9手段ガイドファクタリング会社の比較もあわせてご確認ください。

まとめ

損益分岐点とは利益がゼロになる売上高です。この数字を把握することで、経営者は「あといくら売ればいいのか」「どこから利益が出るのか」を理解できます。

感覚ではなく数字で経営する第一歩として、毎月確認しましょう。次の記事では売掛金回転期間を解説します。

シリーズ全体は中小企業の数字経営入門で整理しています。

よくある質問

A

変わります。固定費や利益率が変化するためです。

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参考(一般的な公的情報源)

記載内容は一般的な目安であり、最新の制度・統計・公式情報は次の各機関や各社公式サイトでご確認ください。経済産業省財務省国税庁厚生労働省金融庁中小企業庁。各ファクタリング会社の手数料・対応条件は必ず公式サイトでご確認ください。

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